2010年05月28日
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将軍池は北沢川の水源地なのか違うのか

Written By: 川俣 晶連絡先

 きむらたかし@三田用水さんからのメールで、はたと疑問を抱いて、改めて考えてみました。

 はたして、将軍池は北沢川の水源地なのでしょうか?

 結論から言えば、「yes」でもあり「no」でもあるようです。

見えてきた実像 §

 将軍池は八幡山の病院内にあります。

 この池は、大正10年に患者によって掘られたもので、天然の池では無いようです。

 将軍池の名前は通称「葦原将軍」と呼ばれる「葦原金次郎」という患者にちなむものだそうです。

 従って、これ以前に将軍池は存在せず、ここが水源であることはあり得ません。

 実際に等高線を見ると明らかに水源というには、やや不自然に高くなった位置にあり、やはり本来の北沢川は松沢病院東部に沿って流れていたと思われます。

しかし水源なのだ §

 とはいえ、どうやら将軍池から北沢川へ水が流れていたことも事実のようです。池に水が溜まれば川に流す必要があります。だから、そういう意味で、北沢川の水源の1つが将軍池であるという話も、間違っているというわけではありません。

どういうことか? §

 仮にこれらの話が全て正しいとすると以下のようになります。

  • 将軍池は北沢川の水源地の1つである
  • 将軍池は大正10年に作られ、それ以前には存在しない
  • 作ったのは松沢病院の患者である
  • 従って、松沢病院が作られる前に将軍池が水源地だったという話は誤りと考えられる

感想 §

 結局、水路の歴史の持つ紆余曲折のため、これはたやすく誤解されやすいのかもしれません。将軍池は北沢川の水源地の1つである、という話は嘘ではありませんが、玉川上水と繋がる前に存在したであろう水源地がここであると誤解すると話がどこまで転がっていきます。

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